今回も前回の続きとなります。
まだの方はこちらから。
さて、精密内装に入る前に、まずは座席をモデリングするところから始めます。
今回制作している車種はオールロングシートなので、難しく考える必要はありません。
まずはいつものようにテクスチャから用意します。
車内にて資料収集した写真を元に、テクスチャを作成します。
座席はひとまずこんな感じで。
マッピングはまずマッピングする面を全指定した上で「選択面にフィット」、そして拡大率で上方向の調整を行い(ここではテクスチャに合わせるべく全体の1/4に目分量で指定)、そして位置調整をしてマッピングを行っています。
最近の車両では、モケットの模様で何人掛けかがわかるようになっていますので、それらも調査したうえで座席の幅やマッピングなどを決定していきます。
実はこのロングシート、拙作205系の流用品だったりします。 時間短縮の都合上、このような部品流用は度々拙作内でも発生しています。 今更かもしれませんが。 |
そしてこれを元に車内の全体に座席を配置してみたのが上の画像になります。
ちなみに注目すべきポイントとして、奥にある座席は片側のみの配置になっているのが肝です。
これは、やはり最近の車両にある「車いすスペース」が、座席が置かれているところの反対側にあることによるものです。
この車いすスペースも、車両によっては場所が違ったりするのもありますが、この車種では車いすスペースのある場所に差異はないので、これで問題ありません。
また、車種によっては優先座席に専用のモケットが使われているところもありますが、この車種では優先座席も含め、すべて同一モケットになっているため、このままの仕様で問題ないです。
さて、皆さんお待ちかね?精密内装の部がやってまいりました。
先ほど作成した座席や前回作成した内装を元に細かいところをやっていきます。
なお、次の精密内装では円柱状のパーツが多くなるため、「基本図形 P」を、場合によっては「面の生成 F」を併用しつつ作ることが多くなると思います。
まずは皆さんドア付近に立つときは必ず掴むであろうドア横の掴み棒から。
こちらのパーツは「基本図形 P」で基本形を作成し、「面の生成 F」で壁への支えとなるパーツを作ることになります。
続いて座席上の荷物棚(便宜上、自分の中ではパイプ棚他であっても「網棚」としています)。
この車種は画像のようにパイプ棚であり、資料収集編でも説明した通り、ここは実写を用いません。
ここも「基本図形 P」にて作成した円柱状のオブジェクトをただ並べるだけのものとなっています。
なお、このパイプ棚を支えている物(こちらも便宜上「ブランケット」としています)は「面の生成 F」の辺で大まかな形状を作成、そして面を張った後、張った面を選択して「面を押し出す」で作成しています。
(ちなみに拙作では張った面をコピーして、「面を押し出す」にてマイナスの値を入力、押し出された面は全て反転している(内側に面がある状態)ので、これを選択して反転、その後最初にコピーした面をペーストする流れでこれをやっています)
つり革の制作過程もざっとこんな感じで。
この車両は枕木方向に付けられた三角型のつり革を装備していますので、このような作りとなります。最近の車両によくある奴ですね。
ちなみに車種はJR東海211系0番台に変わりますが、参考までに横に向いた丸形のつり革はこのようになります。
つり革はフルポリで表現してもいいのですが、その際は膨大化する頂点数に注意が必要です(滑らかにすればするほど頂点数は増加します)。
その他、車内にて撮った写真を元に精密内装を作っていきます。
精密内装が終われば、車内がだいぶそれっぽくなるかと思います。
そのまま引き続きドアも作ってしまいましょう。
ドアの内装部分はこの写真を元にテクスチャ化します。
ドアのテクスチャはこんな感じで。
上半分を外装用の半透過テクスチャ、下半分を内装用テクスチャとしました。これも拙作標準となっています。
ちなみに、GIMPにてそのまま半透過処理(「レイヤー(L)」→「透明部分(A)」→「色を透明度に(A)」)を実行すると、内装用の下半分も半透過になってしまいますので、選択範囲でざっと半透過にしたい上半分を選択してからこの処理を実行した方が良いです。
作成したテクスチャを元にドアを作っていきます。
ちなみに、ドアはRS上でも左右で別の動きをする都合上、左右でオブジェクトを分けて作った方が良いです。
上に伸びている辺だけの線はマッピング調整用のポリゴンです。 実際に張った面と同じだけ伸ばすと、このように正確に半分だけのマッピングができます。 先ほどの座席のように目分量で調整すると、正確なマッピングができなくなってしまうため、正確性を求めたマッピングをするならこの方法が一番かなと思います。 もちろんUVマッピングで合わせても良いと思います。が難易度は高いのでこちらの方法を常用しています。 |
そして窓を開けた後の状況がこちら。
この後、右側のドアも同様にやるのですが、凡そ面倒だと思われるので、「面の鏡像を作成」からサクッと実行して位置合わせをしてしまいましょう。
この時に先述の通りオブジェクトを分けるのを忘れずに!(「面の鏡像を作成」を実行した時点では作成元のオブジェクトと同じオブジェクトにあるので注意しましょう)
そのまま外側も作ってしまいましょう。
外側は側面用のステンレス素肌テクスチャ、塗装面のテクスチャ、そして今回の外装用ドアテクスチャの3重配置としました。
旧塗装を再現する場合、テクスチャの構造上今のマッピング状態のままでは再現できないのですが、これは後ほど定義ファイルで弄る予定なので、今回はスルーします。 |
そして窓も張った後、ドアを「鏡像の作成」で反対側に複製し、重ならない位置に移動してからもう一度「鏡像の作成」で配置します。少し難しい方法ですが、こっちの方がオブジェクトの位置関係を維持したままドアの複製ができるのでおススメです(コピー&ペーストでもできますが、左側と右側を別々でコピー&ペーストしないと一緒になってしまい大変面倒になってしまいます)。
さて、ここまででドアができました。しかし、
※画像は前回講座のものです。
前回の客室内装を作り始める前の段階で、戸袋をとりあえず暫定で作っていたかと思います。
今度はこれを正式なものにしていきます。
まずはドアの片側(ここでは左側)を開けた位置に移動させます。
点と線だけの分かりにくい画像で大変恐縮ですが、中ほどに見えるピンク色の点を、ドアの一番左側に寄せて戸袋の調整は終わり。
当然反対側も同様に調整します(ここでどのくらい移動させたかの座標を覚えるなりメモなりしておくと反対側も同じ値で移動させて終わりなので楽に済みます)。
床下に入る前にこちらもササっと。
本当はもっと前の段階でやるべきだったんですが、ボク自身すっかり忘れてました(オイ
さて、作業はいよいよ床下部に入っていきます。
まずは手始めに連結器を作成します。
とはいっても連結器も今まで通りの作り方となります。
自動連結器の中でも「柴田式」と言われるものは、所謂密自連と比べるとハードルは下がるかと思います。
こちらも参考までに別車種の東急7200系(デヤ)となりますが、これが所謂密自連と呼ばれる連結器となります。
先ほどの柴田式と比べると、より複雑な形状をしていることがお分かりいただけるかと思います。
拙作ではこれの他にもう1つ、東急2020系にて装備している別の密自連もあります。
都合上そちらの画像は載せないので、気になった人はぜひそちらも確認していただけると幸いです。
車輪は最近の拙作標準となっている、この「新仕様車輪」を使用するので、今回モデリングはしませんが、モデルデータだけお見せします。
基本的には「基本図形 P」で作成したものを、外側の半径を小さめにし、内側の半径を大きめにする、ということをしているだけですね。
拙作の縮尺基準で制作する方のために、参考データとして座標を記しておきます。
X:±6.16(内側)、±7.03(外側、いずれも軌間1067mmの場合)
Y:±5.29(内側)、±4.76(外側)
Z:Yに同じ
さぁ次はいよいよ電車の足ともいえる台車になります。
今回の車種は複雑な形状をした台車を履いているので、少しばかり時間がかかると思います。
まずは上記ファイルを「common_myzk¥Iyo¥610」フォルダ内に用意します。
今回はTcだけのモデリングの予定ですが、一緒にMcのデータも用意したのは、後でモデリングするため、ここで一気にやってしまおうと一気に用意しました。
地味にテクスチャ化も面倒で時間のかかる作業ですので、あえて一気にやってしまうのもやり方の一つかと。
台車のテクスチャファイルに「Y_Bogie」と名が付いていますが、実際はただの「Bogie」です。 フォルダ内の並びの都合上(つまりこの画像を用意するためだけに)この名前にしています(すぐに「Bogie」に戻しました)。 |
そして暫定で床下に基準となる背面を張っておきます。
これはあとあと、床下を作成する際にも目安として用います。
実はこの車種、側面サイドビューがろくにない車種だったりしました(今更過ぎる告白)。 側面は東武20000系を参考に少しアレンジを加えた感じにしましたが、床下はひたすら目分量との戦いで、地味にきつかったです…。 |
そして実車を参考に車輪の大まかな位置を決めます。
これは台車を作る際の基準となります。
車輪の項目で見せた車輪と見た目が違うじゃないか!と思われるかもしれませんが、これはこの車種が波打ち車輪でないことによるものです。 鉄道会社によっては、波打ち車輪であるところとそうでないところがあるようなので、この辺も資料収集する際に確認できるような写真を撮っておいた方が良いかと思います。 |
そして台車の基準を定める面を張り、「平面」で選択面にフィットからの「UV」に切り替え、車輪を見ながら調整します。
台車が少し透明になっているかと思いますが、こうすることで背後にある車輪との調整をしやすくしています。 半透明の設定の仕方は、材質設定の「不透明度」のパラメータを弄ることで設定できます(数値で入力してもOK)。 |
あとはこれまで通り、なぞってモデリングしていくの繰り返しです。
ちなみに、分けた方が良いと思った場面でオブジェクトを分けてモデリングしています。
台車にもいくつかのパーツがあり、それ毎に分けた方がモデリングしやすい場合もあります。
少しばかり簡略化してしまいましたが、これでひとまず台車は完成です。
余談ですが、伊予鉄610系が履いている台車は、東武2000系からの廃車発生品だそうです。
今回の台車は、手前に飛び出ている部品(恐らくボルスタアンカー)の向きが、反対側では逆方向に向いています。 つまり、横から台車を見た場合、反対側から見ても必ず上の画像の向きになっている、と言うことですね。 この場合、鏡像を作成しても不都合なので、今回は一旦モデリングし終えたポリゴンを全て選択の上、コピー&ペーストした上で、180度反転、そして接合と言う工程を踏みました。 |
さて、これで見た目がだいぶ電車っぽくなったかと思います。
ですが個人的にはまだ満足していません。まだ個人的に間抜け感が否めないからです。
空中浮遊じゃなくなっただけマシと言えば…ですが。
と言うわけで次は台車の周り、つまり床下に配置されている機器類を設置していく作業になります。
と言うわけで、テクスチャを元にモデリングを進めていきます。
四角い箱を並べていくだけの単純になりがちな作業ですが、物によっては複雑なものになったり、タンク類などもあるのでこの辺は基本図形に頼ったりと様々です。
また、大小様々な箱もあるので、場合によってはバランスを考慮して奥行の調整もした方が良いかと思います。
また、普通の箱であっても一部が飛び出している機器もあります。
昔の拙作ではこれを飛び出させていないものもありましたが、最近では飛び出させるのが通例となっています。
拙作の床下テクスチャは、進行方向向かって左側を上半分、右側を下半分としています。 このため、上の画像のように右側に取り掛かる前に、マッピングを下半分にしておく必要があります。 |
床下にはこういうタンクが少なからず付いています。
これも、「基本図形 P」でサクッと作っています(なるべく端に丸みが付いているのが良いかと)。
床下が出来上がるとこうなります。
だいぶ見た目も良くなりましたね。
最後の仕上げ。
隣の車両とは、このような中間用の棒連結器や、ジャンパなどで繋がれています。
これはそれを表現してみたものですね。
もちろん、これと繋がる反対側の車両も、「鏡像の作成」等で位置がずれないように注意を払う必要があります。
今回はここまでになります。
次回は幕やステッカー、細かいパーツなどを作っていき、出力する手前までやっていきます。
何かわからないことがありましたら、お気軽に質問してください。
また、要望次第では追記することもあります。